薪ストーブを実際に使い始めて、まず一番最初に立ちはだかる壁...
これって恐らく、9割の方が、『火おこし』なんです。
我が家も最初、苦労しました……
慣れるまでは、大変です。
4時には起きて火おこしをしてるはずの妻が、5時過ぎにげっそりと僕のところに来て、『お願い、火つけて。。。』なんて言われることも、何度かありました 笑
火がうまく起こせないと……
火起こしに手間取ると、泣きたくなる事態に陥ります
・ずっとストーブから離れられない。
・家じゅうに煙が充満する。
・最悪、家の中に煤が降ってくる。
……。想像したくも、ないですよね……?
ですので、この火おこしに関しては、最低限知っておくべきことがあります。
今回はこれらをご紹介しますので、ぜひあなたの薪ストーブライフに活かしていただければ、と思います。
薪ストーブの火おこし~基本のやり方・下から着火~
火おこしの基本は、小さな木っ端から。
まず、薪を小さく小さく、細く細く割っていって、割箸くらいの細さのものを4、5本用意します。
そして、それよりももう少し太い薪を2、3本。
さらに、それよりももう少し太い薪を2、3本...
といった風に、かなり細めのものからスタートするのです。
で、まず一番細く小さな薪をバキバキ折って、ざっとキャンプファイヤーみたいな櫓を組みます。
そこに火をつけ、まずはその小さな『火の赤ちゃん』を育てていきます。
火の赤ちゃんが、幼稚園児位になってきたら、そこに、もう少し太い薪を加えていきます。
火の幼稚園児の栄養は空気ですから、下からの空気の通り道はしっかり確保しましょう。
※ここで、薪ストーブ庫内~煙突に向けて、上昇気流が生れれば、火おこしで出た煙が家じゅうに充満することはありません。
もし、煙が煙突に吸い込まれず、家が煙たくなってきたら...
・火のついた木っ端を火ばさみ等で掴み、煙突吸い込み口を炙るようにして温めましょう。
・煙突内に上昇気流が生れれば、煙は庫外へ漏れなくなります。
で、その2番目の細さの薪に火が移ったら、もう少し太い薪を...といった風に、徐々に大きな薪を加えながら、火を成長させていきます。
これは、火おこしの基本中の基本であり、恐らくどこでも使えるものではないでしょうか。
薪ストーブは、火起こし、火消しの時に、最も燃焼効率が落ち、煤やタールが出やすく、薪ストーブ本体や煙突の劣化を促します。
なるべく早く、大きな炎を立ち上げるように意識しましょう。
薪ストーブの火おこし~楽するやり方・意外な天然の着火剤~
これは着火剤を使う方法です。
着火剤というと、Amazonや楽天等で売られている、固形着火剤を思い浮かべる方が多いと思うのです。
が、あれって、割と高価だと思うのです。
大体、1火おこしに付き20~30円くらいでしょうか。毎日使うとしたら、1カ月で900円...安くはないですよね。
で……我が家では、強烈な天然の着火剤を利用しています!!もちろん、原価ゼロ円!
しかも天然素材ですから、新聞紙や段ボールのように、印刷のインク等によるストーブ内部の痛みを気にする必要もありません。
全くもって自然のものなので、バンバン使えて、しかも灯油等を使わないため匂いも気になりません。
我が家が重宝している天然の着火剤は...なんと。
・松ぼっくり
・枯れた杉の葉
です。
松ぼっくりは松脂(マツヤニ)をたっぷりと含んでいるので、とてもよく燃えます。
大きさにもよりますが、大体小ぶりの松ぼっくり1個で3分程度は燃え続けますので、2、3個あれば着火剤としては十分な威力を発揮します。
もし、近所の公園等に大王松(子供の顔程ある大きな松ぼっくりが落ちる!)があったり、テーダ松(かなり長い松ぼっくりが落ちる)などがあれば、超優秀な着火剤がタダでゲットできます 笑
また、杉の葉の茶色く枯れたもの等も、火を大きく燃え広がらせるのに重宝します。
こんな風に、天然の素材で、火おこしに使えるものはたくさんあります。
是非、散歩がてら、近所の公園やちょっとした自然を注意してみてみて下さい。
何の変哲もない杉林や街路樹が、お宝の山に見えてきますよ 笑
薪ストーブの火おこし~煙を出したくない時の方法・上から着火~
前章までは、僕の妻が基本に忠実に行っている、火おこしのやり方と、ちょっと楽するやり方でした。
が……実は僕が火おこしをする時は、もっぱらこちらの方法なのです。
理由は、日中や夕方など、あまり煙を出したくない時に火を起こすことが多いから。
もちろん、基本に忠実なやり方でも、早々に炎が立ち上がれば、大して煙は出ませんが、万が一しくじると、家の中はもちろん、煙突からも真っ白な煙が容赦なくモクモク出始めます。
我が家は割と住宅街に位置するので、日中に煙をモクモクと排出していたら、クレームが来る可能性があるので、朝8時頃~夕方17時頃までの間にどうしても火をおこしたい時は、この方法でやっています。
トップダウン式着火という方法ですが、ざっくり言うと...
トップダウン式着火とは...
・最初から炉内に薪を3~4段組んでおき、その頂上に多めの焚き付けを盛って着火。
・一番上の焚き付けの火が徐々に下の大きな薪に燃え移り、いつの間にか薪全体に火が回っている。
とまぁ、魔法のような着火法なのです。
トップダウン式着火の良いところは、いったん焚き付けに火をつけてしまえば、後は放置しておいても勝手に火が広がっていくこと。
特に、忙しくて手が離せない時など、火つけに付きっ切りになりたくない時には、超オススメです。
トップダウン式の着火方法は、いろいろな方が紹介されていますが、次のようにやれば大丈夫!
ポイント
下から順に薪を井桁に組んでいきますが、このときのポイントは
・一番下の段(1段目)は一番太くてクヌギ・コナラなどの広葉樹の薪
・その上(2段目)は同じく広葉樹で1段目より少し細目の薪
・その上(3段目・4段目)は2段目より少し細目の針葉樹(スギやヒノキなど)の薪
・その上(一番上)は、割りばし位の細目の針葉樹の薪や、薪割りのときに出た薄っぺらい薪、松ぼっくりなどの着火剤を山盛りに。
これを実際にやってみると…
1段目
2段目
3段目
4段目
最上段
こんな感じです。
※上に行けば行くほど燃えやすい薪にしていくことと、一番上の焚き付け材はケチらないことがポイントです!
失敗を防ぐための最大のポイント!単純な井桁にはしない!
・2段目、3段目、4段目は単純な井桁ではなく、真ん中に一本細目の薪を追加し3本の井桁にする。
一度試してみるとわかると思いますが…一番上の焚き付け材が燃えるとボロッとくずれる時があります。
このとき、1~4段目を単純な井桁にしていると、崩れた焚き付け材が組んだ薪の一番下まで落下...
火が消えてしまいます……
僕も最初の頃は、火着けをした後、放置しておいたら火が消えていた、、なんてことが何度かありました。そんな失敗のときの原因は、ほとんどがこれでした。
火が消えていたときの残念さと言ったらもう、泣きたくなりますよね...
そこで重要なのが、3本の井桁の組み方なのです。
こうすることで、一番上の焚き付け材が燃えて崩れても、一番下まで落下せず、真ん中の細い薪に引っかかるので、燃え続けてくれますよ!
おまけ・・・
針葉樹の薪を使うと煙突内にタールがたまったり、ストーブの劣化が早くなったりしないか?
と心配される方もいるかと思います。
が……
針葉樹は油分が多いので広葉樹の薪よりも火着きが良く、直ぐに火が大きくなってくれるので炉内の温度が早く上がります。そのため、不完全燃焼が起こりにくく、煤や嫌な臭いも発生しにくいのでGOODです。
実は、ストーブの劣化を早めてしまうのは、針葉樹という樹種が問題なのではなく、薪がちゃんと乾燥しているか?がポイントなのです。
広葉樹の薪でも、きちんと乾燥していないと、不完全燃焼が起きやすく、煤やタールが発生し煙突内に溜まってしまうと煙道火災の危険が生じます。
薪はきちんと乾いていることが重要です!!
逆を言えば、乾いて入れば、針葉樹でも広葉樹でもOK。樹種の違いで、燃え方や日持ち、火力などが違うので、いろいろ使って薪の違いを楽しむのも楽しいと思いますよ!