薪ストーブを導入しようか、どうしようか、と迷っているあなた。
迷いの理由の1つに、『灰の処理』があるのではないでしょうか。
大量に出る灰。これ、どうしたらいいの??
畑にまけば良いとかって聞くけど、うち畑ないし。
燃えカスってことは、燃えないわけでしょ...??
どう捨てたらいいの??
そんなあなたに。
今回は、ちょっと意外な、我が家の灰の活用法をご紹介します。
目次
灰のあっと驚く活用法
江戸時代から様々な方法で利用されてきた灰ですが、一般の家庭では、洗剤替わりとしても、使われていました。
この、『洗剤』としての役割に目を付け、我が家では意外な活用をしています。
その1つをご紹介します。
まずは、灰の溜め方から…...。
薪ストーブの灰~安全に溜める方法~
薪ストーブを利用し始めると、毎日、ある程度の量の灰が出ます。
少し炉内に残しておく方が、火持ちが良くなったり、断熱効果があるなどと言われますが、1シーズン放置というわけにもいきません。
我が家では、炉内の灰がある程度冷めた時を見計らい、金属製の蓋付きのペール缶に入れて、灰を保存しています。
金属容器であれば、多少灰が熱を持っていても、容器が破損するようなことはありません。
また、蓋があることで、万一、灰の中に小さな熾き(まだ火種となりうる熱を持った炭)が混じっていても、酸素の供給が無ければそのまま鎮火します。
ただ、完全に鎮火するには時間がかかることもあるので、2日~3日間は蓋つき容器の中に放置しておくことが必要です。
灰を溜める方は、ぜひ、蓋付きのペール缶を準備しておくと安心ですよ。
薪ストーブの灰~あっと驚く活用法~油ものの処理~
揚げ物や炒め物など、油を大量に使うお料理で出る鍋やフライパンの処理は、どうしていますか?
特に揚げ物の油などは、市販の油を固めてる薬剤を使って捨てる方も多いのではないでしょうか。
今回は、我が家で行っている灰による揚げ油の事後処理をご紹介します。
まず、大前提として!
必ず、使用する灰は、熾きが完全に鎮火し、冷えた状態であることを確認してください。
フライパンやお鍋など、洗い物はフッ素加工などの表面コーティングの無いものに限ります。
理由は、灰の粒子により表面のコーティングに傷がついてしまう可能性があるからです。
その分、ステンレスのフライパンや鉄鍋、陶器の食器などには、驚くべきパワーを発揮します。
今回は、ステンレスのノンコーティングのフライパンで説明します。
灰に油を吸わせる
鍋底にたまった油に、このくらい、灰をたっぷりかけます。
今回の油の量だと、下の写真位だと少し少な目です。
上の写真くらい、たっぷり入れてしまいましょう。
油と灰をなじませる
次に、ゆっくりと油と灰を馴染ませるようにゴムベラで混ぜていきます。
だんだんと、灰と油がなじんでいきます。
灰をまとめていく
ここから、油を吸った灰を、だんだんと粘土のようにまとめていきます。
捨てる
そのまま、その粘土もどき(油を吸った灰)を燃えるゴミに捨ててしまえば、このくらいキレイになります。
二度洗い
さらに、少し灰を追加します。
今度は鍋肌に残った油をこそげ落とすようなイメージで、再度、ゴムベラでごしごし。
このくらいにはなります。
どうですか?
この程度なら、普通にスポンジを泡立ててサッと洗えば、楽にキレイになりそうですよね!
注意
地域によっては、灰の処分方法が決められている場合がありますので、お住まいの地域の廃棄ルールは確認してくださいね。
ちなみに、キャンプ場などで洗剤を使えない、もしくは使いたくない状況の際は、この最後の『二度洗い』を丁寧にやることにより、洗剤要らずで相当鍋をキレイにすることができます。
仕上げは、軍手をはめて、両手に灰を付け、直接軍手でゴシゴシと洗うようにこすれば、スッキリ綺麗に汚れが落ちますよ!
キャンプシーンや油の処理などに、ぜひ試してみて下さい。
くれぐれも、灰が冷め、熾きが残っていないことを確認してからやってくださいね。
では、ここからは、
・そもそも灰がどういうものなのか?
・昔はどんな活用をされていたか?
などについて、ご紹介していきます。
そもそも、灰ってどういうものなの?
活用するにしても、灰というものが実際どういうものなのか??ということを知っておかねば、活用しようがありません。
ここでは、灰の大まかな性質をご紹介します。
灰の主成分と性質~水に溶けるとアルカリ性に~
薪を燃やした後の灰はカルシウム、カリウムといった成分を多く含んでいます。
また、水に溶かすと、強いアルカリ性となります。
実はこのアルカリ性である性質を用いて、灰は古くから様々なシーンで生活に使われてきたのです。
歴史から見る灰の活用法~江戸時代にはもっとたくさんの活用法が!~
実は、江戸時代には『灰屋』と言われる商人がいました。
各家庭や商店を回り、かまどに残った灰を買い取り、必要なところに売る、その商売が成り立ったのです。
それくらい、『灰』は人々の生活と生産活動に欠かせないものだったのです。
江戸時代、今でいう、苛性ソーダや炭酸ソーダの代わりに、灰のアルカリを利用して、様々な商売が成り立っていたのです。
藍染
伝統的な藍染に、灰が利用されることはご存知でしょうか。
草木染めとは違い、微生物の発酵の力で染めていく藍染には、アルカリは欠かせません。
このアルカリに使われたのが灰汁です。
灰汁を使った藍染は、非常に色鮮やかで美しく、江戸時代には庶民の間に広く浸透していきました。
この藍染の流行により、灰の価値が上がっていき、『灰』そのものを商売につかう『灰屋』が生れたのです。
畑の土壌改良
現在でも、灰を家庭菜園の土壌改良に使われている方も多いのではないでしょうか。
畑は、酸性土壌ですと、なかなか植物を育てるのに向きません。
もともと、関東地方は関東ローム層と言われる酸性土壌であったため、この灰によるアルカリ化が、畑づくりには欠かせなかったのです。
酒屋
澄んだ透明の日本酒。
日本酒といえば、この透明感が思い浮かぶ方も多いと思われますが、実は江戸時代初期の日本酒は、にごり酒でした。
そのにごり酒に、灰を加えることで、にごり成分を分離させ、透明な日本酒を作ることに成功したのが、『鴻池財閥』の原型となった酒造なのです。
これ、酒屋のお金を黙って使い込んだ使用人が、叱られ、追い出された腹いせに、樽の中に灰をぶち込んで逃げた嫌がらせが、きっかけだったそうですよ。
焼き物
陶器を焼くときのうわぐすり。これにも灰が使われていることをご存知でしょうか。
焼き物表面をガラスコーティングし、美しい光沢を作り出すうわぐすり。
このうわぐすりに欠かせないのが灰なのです。
灰の石灰質が、土石に含まれるガラス成分を溶かし、粘土表面を美しくコーティングするのです。
まとめ
こんな風に、薪ストーブから出る灰には、様々な活用法があります。
あなたのお宅でも、様々な活用法を見つけてくださいね。