初心者のための薪作り講座

薪の乾燥が最重要!【初心者のための薪作り講座②】

薪棚

初心者のための薪作り講座第1回目は、薪作りの重要ポイント3点(①長さ、②太さ、③乾燥)についての内容でした。

今回は、その中でも最重要ポイントの③乾燥について深掘りしていきます。

未乾燥の薪を燃やした際のリスク、薪を乾燥させる重要性を理解いただけると思います。

ぜひ、あなたの薪作りの参考にして頂けたら嬉しいです!

 

第2回で学べる事

・薪を乾燥させる目的、重要性

・未乾燥の薪を使った場合、どんな問題(リスク)があるのか

・薪の乾燥目安(含水率と乾燥期間)

・煙道火災(煙突内での火災)の原因と予防方法

 

 

薪は乾燥しているものを使うのが正解!

 

薪ストーブやキャンプで使う薪、自分で作る場合やお店で売っているものを購入する場合色々あると思いますが、燃やす際は、十分に乾燥したものを使いましょう。

未乾燥の薪を燃やすと、危険な目にあったり、周りに迷惑をかけたり、楽しい薪ストーブ生活が送れなくなってしまいます。

 

 

薪を乾燥させる目的、それは燃やし易くするため!

薪を乾燥させる目的って何でしょうか?

 

僕が思うに薪を乾燥させる目的は、ただ一つ。

薪を燃え易くする為

結局のところ、これだけです。

 

これだけ?と思った方もいるかもしれませんが、逆に、乾燥していない薪を燃やした場合に起きることを整理してみたので、これを用いて説明します。

 

薪乾燥していない場合4

 

乾燥していない薪を燃やすと、

薪の水分の蒸発に熱量が奪われてしまうため、燃焼効率が下がってしまいます。

燃焼効率が下がると、薪を燃やしていてもストーブの温まりが悪く、部屋も温まり難くなります。

そのため、部屋を暖めようとして、沢山の薪を燃やすので通常よりも薪の使用量が増えてしまいます。

そうすると、1シーズンに必要な薪の量が多くなり、沢山の薪をつくることが必要になったり、シーズン途中で薪が足りなくなり余計な出費が生じたり……

負のスパイラルに陥ります。

 

これだけならまだしも、不完全燃焼が生じると事は重大です。

薪を燃やした時、煙いや嫌な臭いが発生し、ご近所へ迷惑をかけてしまう。

また、不完全燃焼でクレオソートが発生し、これが頻繁に続くと煙突内にクレオソートは徐々に溜まっていきます。

さらに、そのまま煙突を掃除せず使い続けると、煙道火災の危険や、不完全燃焼で生じたCOと、煙突の排気不足、高気密住宅で室内が負圧になっているなどの条件が重なると、CO(一酸化炭素)が室内に逆流しCO中毒の危険も高まります。

こうなると、楽しい薪ストーブの生活が送れなくなってしまいます。

 

不完全燃焼が起きないように、薪を十分に乾燥させ燃え易くしておくことが重要です!

 

参考

高気密住宅で第3種換気設備を使っている場合、通常室内が負圧の状態です。また、換気扇を回した時、ドアが開け難くなるような場合は、室内が負圧になっています。

室内が負圧状態で、薪ストーブを使う場合、ちょっと注意が必要です。

通常、高気密住宅の室内換気は、給気口から外気が入ってきて排気口から室内の空気が排出される構造になっています。

が、給気口のフィルターが目詰まりしていると、薪ストーブの煙突が給気口の代わりになってしまうことがあります。

こんな状態のときに、薪ストーブの燃焼温度が低くドラフト(排気の上昇気流)が弱い場合、薪ストーブの煙突の排気よりも室内の負圧が勝り、薪ストーブの排気が室内に逆流してしまうことがあるのです。

そうならないよう、ご自宅の給気口のフィルターが汚れていないか定期的にチェック&掃除をしましょう。

 

薪の含水率は20%以下にしましょう!

薪の乾燥具合を測る指標に含水率があり、理想的な薪の含水率は20%以下と言われています。

実は、伐採したばかりの木は含水率が高く、時期によれば100%を超えるような時もザラにあります。

特に、春先から夏頃の木は地中から沢山の水分を吸い上げ、左下の写真のように葉っぱが青々と茂っています。

いかにも水分が多そうですよね?

そのため、薪を作る際は、右下の写真のように紅葉が始まり、葉っぱが落ちる秋~冬の時期に木を伐採すると、元々木に含まれる水分が少ないので、薪にしたとき乾燥させる時間が短くなり効率的です。

青々と茂る森秋の森

 

参考

薪棚の設置場所(風通しや日当たり具合)や、薪の太さによって乾燥に必要な期間はマチマチですが、木を伐採した時期と、薪の乾燥期間の目安は下の表のような感じになるかと思います。あくまでも目安なので、含水率も測定することをオススメします。

伐採時期と乾燥期間目安

因みに、我が家の薪作りは、12月初め~5月末位を目途に毎週末ちょっとずつ薪作りをしています。

乾燥期間は10ヵ月~1年程度ですが、薪棚設置箇所が日当たり&風通し良好なので、この期間で十分含水率20%以下になっています。

 

煙道火災(煙突内火災)予防のポイント4つ。

煙道火災の原因は、煙突内壁に溜まったクレオソートです。

煙道火災

クレオソートとは、燃焼のときに薪から発生した可燃性のガスが、燃えきれないままドラフト効果によって上昇し、外気で冷やされた煙突内壁に触れることで液化して付着したものです。

クレオソートが煙突内壁に溜まると...

 

排気能力が低下(煙突内径が狭まるため)する

より不完全燃焼が起きやすくなる

さらに未燃焼の可燃性ガスが増え、クレオソートを増やすことに。

 

完全に負のループです。

 

この煙突内壁にクレオソートが溜まっているとき、何かの拍子に煙突内を火の粉が飛んだりしてクレオソートに引火すると激しく炎上します。

この火災のことを煙道火災と言います。

 

このクレオソートですが、ヤニの多い針葉樹が出やすいという事はなく、針葉樹でも広葉樹でもどんな種類の薪を燃やしても発生します。

 

燃焼状態が悪いと、より多く発生するので、薪の乾燥状態が最も重要なポイントとなります。また、しっかり乾燥させた薪でも、燃やしているときに燃焼用空気を絞り過ぎたり、大量に薪を入れすぎたりしてしまうと不完全燃焼を起こしてしまうため注意が必要です。

 

また、もう一つの視点として、クレオソートを溜まり難くするのに重要なポイントに、煙突の性能があります。

燃焼の際に発生した可燃性ガスが冷えた煙突内壁に触れると液化して付着してしまうため、煙突の保温性・断熱性能が高い2重煙突を使うことが有効です。

保温性・断熱性の高い2重煙突は、外気の影響を受けにくく薪ストーブからの排気は冷えずに排出されるので、未燃焼の可燃性ガスが液化して付着する可能性が低くなります。

あとは、定期的に煙突内の清掃を行って付着してしまったクレオソートを取り除いてあげることが重要です。どんなに上手に燃焼させても、少しずつクレオソートは付着するので煙突内の掃除を怠ることはNGです。少なくとも年1回、シーズン終わりか、シーズン初めには清掃をするようにしましょう。

ポイント

煙道火災を起こさせないためのポイントは、

①乾燥した薪を使う

②不完全燃焼が起きないよう、燃焼空気の絞り過ぎや薪の投入し過ぎに注意

③煙突は2重煙突を使用

④煙突内壁の清掃

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